JumpServer は、運用者がサーバーやデータベースに入るときの入口を 1 台にまとめる踏み台サーバーです。接続はすべて JumpServer を通るので、誰がどのサーバーで何をしたかを後から確かめられます。
この記事は、数台以上のサーバーを複数人で運用していて、アクセスの管理を見直したい人に向けています。読み終えると、次のことができるようになります。
- 検証用の仮想マシンに JumpServer を入れて、管理画面にログインする
- サーバーを 1 台登録して、ブラウザーから接続する
- 接続の記録がどこに残るかを知る
JumpServer でできること
公式の README は、JumpServer をオープンソースの特権アクセス管理(PAM)基盤と説明しています。SSH、RDP、Kubernetes、データベース、Web サイトなどへの接続を、1 つの画面から扱えます。公式ドキュメントから読み取れる主な機能は次のとおりです。
- アクセスの集約:サーバー(資産)と、その接続用アカウントを JumpServer に登録し、利用者はブラウザーから接続します
- 権限の割り当て:どの利用者がどの資産のどのアカウントを使えるかを、「Authorization」で決めます
- 操作の記録:セッションの録画と、セッション中に打ったコマンドの記録を残します。保存先はローカルのほか、録画は Amazon S3 など、コマンドは Elasticsearch も選べます
- 多要素認証(MFA):全員、または管理者だけに MFA を必須にする設定があります
踏み台を置くと守りやすくなるのは、守る場所が 1 か所に絞れるからです。各サーバーへのログインを踏み台からだけに制限すれば、パスワードや鍵を運用者一人ひとりに配らずに済みます。退職者の権限を外すのも踏み台の設定 1 か所で終わります。さらに操作の記録が残るので、障害や不正の疑いがあったときに、誰がいつ何をしたかを追えます。その代わり、踏み台そのものが乗っ取られると全サーバーに影響するので、踏み台の更新と認証の強化は特に大事です。
オープンソース版(CE)と商用版(EE)の違いは、公式の比較表にまとまっています。たとえば、セッションの監視やコマンドの監査はどちらにもあります。OIDC や SAML2 との連携、Oracle と SQL Server への接続、チケット(申請)機能は EE だけです。
安全な試し方:検証用の仮想マシン 1 台で動かす
公式の手順は、まっさらな 64 ビットの Linux サーバー(4 コア、メモリー 8 GB 以上)を用意するよう求めています。本番のサーバーをつなぐ前に、検証用の仮想マシンで一通り試してください。対応するディストリビューションの一覧は、公式ドキュメントでは確認できませんでした(未確認)。
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4 コア、メモリー 8 GB 以上の Linux 仮想マシンを 1 台作ります。手元に用意する方法は安全な検証環境の作り方を参考にしてください。
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root か、管理者権限を持つユーザーでログインし、
/optに移動します。 -
公式のインストールスクリプトを、実行する前にダウンロードして中身を読みます(理由は「注意点」に書きます)。
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中身に納得したら、公式の手順どおりに実行します。
curl -sSL https://github.com/jumpserver/jumpserver/releases/latest/download/quick_start.sh | bash -
インストールが終わったら、ブラウザーで
https://<JumpServer の IP アドレス>/を開きます。 -
初期アカウント(ユーザー名
admin、パスワードChangeMe)でログインします。最初のログインでパスワードの変更を求められるので、推測されにくいものに変えます。 -
自分しか使わない検証用でも、MFA を有効にしておきます。管理画面の にある「Global MFA」で設定できます。
主な使い方:サーバーを 1 台つないでみる
公式のクイックスタートは、次の流れで最初の接続まで進みます。つなぐ相手は、検証用に作った自分のサーバーにしてください。
| 手順 | 画面での操作 |
|---|---|
| 資産を登録する | で Create を選び、Linux を選んで名前と IP アドレス、接続用アカウントを入れる |
| 権限を割り当てる | で Create を選び、利用者と資産、使えるアカウントを選ぶ |
| 接続する | 上部のバーから Web Terminal を開き、資産を選んで SSH の Web CLI で接続する |
| 記録を確かめる | 接続中に whoami などを打ってから exit で抜け、管理画面でセッションとコマンドの記録を見る |
録画とコマンド記録の保存先は、Storage の「Object storage」と「Command storage」で変えられます。
注意点
- 公式のクイックスタートは、ダウンロードしたスクリプトをそのまま bash に渡す形です。2026 年 10 月 25 日時点のスクリプトは、curl や wget などの必要なソフトを入れ、
/optにインストーラーを取得してチェックサムを確かめてから、インストールと起動をします。版によって中身は変わりうるので、実行する前に毎回ダウンロードして読んでください。 - JumpServer は、つないだサーバーのパスワードや鍵を預かります。踏み台が破られると、預けた全サーバーに入られるおそれがあります。管理画面をインターネットに直接出さないでください。
- 過去には JumpServer 自体に重大な脆弱性が見つかっています。公式の GitHub Security Advisories に、影響する版と修正版が載ります。定期的に見て、更新を続けてください。脆弱性を見つけたときは、公開の Issue ではなく、この画面から非公開で報告するよう SECURITY.md が求めています。
- アカウントのパスワードを一斉に変えたり、相手のサーバーにアカウントを作ったりするタスク機能もあります。相手のサーバーの設定を書き換えるので、自分が管理するサーバーにだけ使ってください。
- 録画やコマンド記録には、画面に映ったパスワードや個人情報が残ることがあります。誰が記録を見られるかを決め、運用者には記録していることを伝えておいてください。
- 自分が管理していないサーバーや、書面で許可を得ていないサーバーを登録して接続しないでください。
次に読む
出典
- 公式リポジトリ(README)github.com/jumpserver/jumpserver
- 公式ドキュメント:はじめに(構成要素の一覧)jumpserver.com/docs
- 公式ドキュメント:インストールjumpserver.com/docs/installation
- 公式ドキュメント:クイックスタートjumpserver.com/docs/quickstart
- 公式ドキュメント:オープンソース版と商用版の比較jumpserver.com/docs/compare-versions
- 公式ドキュメント:認証のセキュリティ設定(MFA)jumpserver.com/docs/security/auth-security
- 公式ドキュメント:オブジェクトストレージ(セッション録画の保存先)jumpserver.com/docs/storage/object-storage
- 公式ドキュメント:コマンドストレージ(コマンド記録の保存先)jumpserver.com/docs/storage/command-storage
- セキュリティポリシー(SECURITY.md)github.com/jumpserver/jumpserver/blob/dev/SECURITY.md
- GitHub Security Advisoriesgithub.com/jumpserver/jumpserver/security/advisories
確認日 2026-10-25
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