AdGuard Home は、自分で動かす DNS サーバーです。広告やトラッカーのドメインへの問い合わせに偽の答えを返し、端末がそのサーバーにつながらないようにします。最初はネットワーク全体に広げず、自分のパソコン 1 台だけで試すと安全です。
この記事は、家や小さな職場のネットワークを管理している人に向けています。読み終えると、次のことができるようになります。
- 自分のパソコンに AdGuard Home を入れ、そのパソコンの DNS だけを向けて動きを確かめる
- クエリログで、どのドメインが止められたかを見る
- ルーターの DNS 設定を変えて、ネットワーク全体に広げる手順を知る
AdGuard Home でできること
公式 README とナレッジベースには、次の機能が載っています。
- ブロックリスト(フィルター)を選んだり、自分のルールを足したりして、広告・トラッカーのドメインを止める
- フィッシングやマルウェアのドメインを止める(ブラウジングセキュリティ)。アダルトサイトを止める(ペアレンタルコントロール)。どちらも初期状態では無効です
- 上流の DNS サーバーへの問い合わせを DNS-over-HTTPS、DNS-over-TLS、DNS-over-QUIC、DNSCrypt で暗号化する
- 自分自身を DNS-over-HTTPS や DNS-over-TLS のサーバーとして動かす
- クエリログと統計で、どの端末がどのドメインを問い合わせたかを見る
- 端末(クライアント)ごとに、フィルターやペアレンタルコントロールの有無を変える
- 内蔵の DHCP サーバーを使う
スマートテレビやスマートスピーカーのように、広告ブロッカーを入れられない機器にも効くのが特徴です。
外とやり取りする通信
プライバシー通知によると、AdGuard Home が外のサーバーにつなぐのは次の場合です。AdGuard 社へ利用状況を送ることはありません。
| 通信 | 送るもの |
|---|---|
| 上流の DNS サーバーへの問い合わせ | 端末から受けた DNS の問い合わせ |
| 更新の確認 | 何も送らず、バージョン情報の .json ファイルを取得する |
| フィルターの更新 | 何も送らず、各フィルターの配布元からファイルを取得する |
| ブラウジングセキュリティ(有効にした場合) | ドメイン名の SHA256 ハッシュの先頭 4 文字 |
| ペアレンタルコントロール(有効にした場合) | ドメイン名の SHA256 ハッシュの先頭 4 文字 |
更新の確認は、起動時の --no-check-update オプションで止められます。
安全な試し方:自分のパソコン 1 台で動かす
公式の「安全に設定する」のページは、自分のパソコンだけで使うならループバック(127.0.0.1)を選ぶよう勧めています。この形なら、ほかの端末の通信は入ってきません。ここでは Windows の例で説明します。
- リリースページから、使っている OS 用のアーカイブを入手して展開します。対応する OS と CPU の一覧は対応プラットフォームのページにあります。
- 管理者権限で
cmd.exeか PowerShell を開き、展開したフォルダーでAdGuardHome.exeを実行します。DNS は 53 番ポートを使うので、多くの場合は管理者権限が要ります。 - ブラウザーで
http://127.0.0.1:3000を開き、初期設定のウィザードに進みます。この時点では 3000 番ポートを全インターフェース(0.0.0.0)で待ち受けているので、ウィザードは早めに終わらせてください。 - ウィザードで、DNS サーバーの待ち受けアドレスに
127.0.0.1を選び、管理画面のユーザー名とパスワードを決めます。 - コントロールパネルの「ネットワークと共有センター」から「アダプターの設定の変更」を開きます。使っている接続のプロパティで「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」を選び、「次の DNS サーバーのアドレスを使う」に
127.0.0.1を入れます。 - コマンドプロンプトで
nslookup example.orgを実行し、Serverの欄が127.0.0.1になっていることを確かめます。 - 管理画面のクエリログに
example.orgの問い合わせが出ていれば、動いています。
元に戻すときは、手順 5 の DNS 設定を「自動」に戻します。
ほかの入れ方と、ネットワーク全体への広げ方
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 公式バイナリ | アーカイブを展開し、./AdGuardHome -s install(Windows は AdGuardHome.exe -s install)でサービスとして登録する |
| 自動インストールのスクリプト | Linux・macOS・FreeBSD・OpenBSD 向け。README に載っている curl のコマンドで入れる。実行前にスクリプトの中身を読む |
| Docker | 公式イメージ adguard/adguardhome |
| Snap | 公式パッケージ adguard-home |
Linux では、setcap で権限を与えるか待ち受けポートを変えれば、root 権限なしでも動かせます。
ネットワーク全体に広げるには、AdGuard Home を常に動いている機器に入れ、待ち受けアドレスを LAN 側(192.168. で始まるアドレスなど)にします。そのうえで、ルーターの DHCP/DNS の設定に AdGuard Home のアドレスを入れると、ルーターにつながる端末がまとめて対象になります。ルーターで DNS を変えられない場合は、AdGuard Home の DHCP サーバーを使う方法もあります。
クエリログとプライバシー
ネットワーク全体に広げると、クエリログには家族や同僚の端末が問い合わせたドメインがすべて記録されます。どのサイトを見ているかが管理者に分かるということです。広げる前に、使う人に知らせてください。
ログは AdGuard Home を動かしている機器の中に保存され、保存期間は管理者が決めます。設定ファイルでは次の項目で調整できます。
querylog.interval:クエリログを残す期間。1 時間(1h)から 1 年(8760h)までdns.anonymize_client_ip:ログと統計に残る端末の IP アドレスを匿名化する- クライアントごとの
ignore_querylog:その端末の問い合わせをログに残さない
注意点
- 家族や職場の端末に広げるときは、問い合わせ先のドメインが記録されることを本人に知らせてください。許可なく他人の通信を記録しないでください。
- 公式の「安全に設定する」のページは、全インターフェースで待ち受けて外から届くようにすると DDoS 攻撃を受けるおそれがあると注意しています。家庭で使うなら LAN の中だけで待ち受け、ルーターでポートを外に開けないでください。外に公開する場合は、同じページにあるアクセス設定(許可するクライアントの一覧)と 1 秒あたりの問い合わせ数の制限を設定します。
- 管理画面には、ネットワークの閲覧先が集まります。推測されにくいパスワードを使ってください。
- DNS サーバーが止まると、向けている端末はインターネットにつながりにくくなります。常に動く機器に入れ、元に戻す方法を先に確かめてください。
次に読む
出典
- 公式リポジトリ(README)github.com/AdguardTeam/AdGuardHome
- ライセンス(GPL-3.0)github.com/AdguardTeam/AdGuardHome/blob/master/LICENSE.txt
- ナレッジベース:はじめにadguard-dns.io/kb/adguard-home/getting-started/
- ナレッジベース:対応プラットフォームadguard-dns.io/kb/adguard-home/platforms/
- ナレッジベース:FAQadguard-dns.io/kb/adguard-home/faq/
- ナレッジベース:設定adguard-dns.io/kb/adguard-home/configuration/
- ナレッジベース:AdGuard Home を安全に設定するadguard-dns.io/kb/adguard-home/running-securely/
- AdGuard Home プライバシー通知adguard.com/en/privacy/home.html
確認日 2026-10-25
似たツール
uBlock Origin
影響範囲 手元だけ広告・トラッカー・マルウェア配布サイトなどへの通信を、フィルターリストに沿ってブラウザの中で止める拡張機能。
- 用途
- 防御
- 形式
- デスクトップアプリ
- 難易度
- 初級
- ライセンス
- 条件つきGPL-3.0
- 分類
- 防御・エンドポイント
Wireshark
影響範囲 外に届くネットワークを流れるパケットを記録し、中身をプロトコルごとに分解して見せるパケットアナライザー。
- 用途
- 学習
- 形式
- デスクトップアプリ
- 難易度
- 初級
- ライセンス
- 条件つきGPL-2.0
- 分類
- ネットワーク/フォレンジック